Business Proposal / 事業提案書 Confidential

宇治園 × TikTok Shop
ライブコマース事業

世界的な抹茶ブームと、TikTok Shop 日本市場の立ち上がり期。この重なりを捉えて、茶製品ライブコマース事業を立ち上げ、黒字化まで設計する。

提案者株式会社 Blendout / 細見 遼
対象宇治園商品のライブコマース販売事業
作成日2026年7月6日
0

まず結論から

参入するタイミングも根拠も合理的。ただし「物を売って利益を取る」だけの当初案は弱い。本命は運用ノウハウの再販——ここに置き換えると、事業の再現性と伸びしろが一段変わる。

やること
宇治園の茶製品(抹茶が主軸)を、TikTok Shop 上でショート動画+ライブ+クリエイター経由で売る運用事業を Blendout が立ち上げる。
勝ち筋
①世界的な抹茶ブーム ②TikTok Shop 日本市場の急拡大 ③Blendout が既に持つ宇治園との信頼・商材理解(Snap MATCHA)。この3つが同時に揃うのは今だけ。
最大のリスク
低単価の茶葉は「手数料+クリエイター報酬+送料+広告」の積み上げで粗利が消える。単品売りは、売るほど赤字になる。
推奨モデル
初期は宇治園を販売主体にした運用代行(レベニューシェア=売上を分け合う型)で在庫リスクを負わず“型”を作る。実績が出たら①米国越境 ②他ブランドへの横展開へ。
絶対要件
クリエイター獲得を「手動営業」でやらない。報酬設計+サンプル配布+オープンコラボで“向こうから来る”自動流入に。手動営業は必ず止まる。
1

なぜ「今」なのか

TikTok Shop 日本市場は、立ち上げ半年で異常な速度で伸びている(2026年7月時点)。

1,280億円
2026年の市場規模
前年比 約8.5倍の急成長
8.5
前年比の伸び
半年で出店者5万・クリエイター20万突破
3,300万人
国内アクティブ利用者
10〜30代が中心
¥0
初期費用・月額
完全成果報酬型。手数料は7〜12%

市場のいま

  • 日本ローンチは 2025年6月30日(動画・ライブ・ショップ・アフィリエイトが統合稼働)
  • 販売手数料は 2026/5/11 からカテゴリ別 7〜12%(決済込み。旧・一律7%から改定)
  • 新規3%優遇は「2025年中の登録」が前提。2026年の新規は対象外の可能性が高い
  • 売れ筋は 美容・パーソナルケアが最上位、次いで食品・飲料、アパレル、トイ・ホビー

なぜ「茶/抹茶」なのか

  • 抹茶は世界的トレンドのピーク局面。インバウンド・海外需要が構造的に強く、TikTok は抹茶コンテンツの主戦場
  • 宇治園は実在する茶ブランド。Blendout は Snap MATCHA で共同事業を持ち、商材・供給・信頼の3点が既に接続済み
  • TikTok Shop の伸びは「動画で違いが一目でわかる商材」に集中。点て方・色・泡・産地比較はビフォーアフター実演と相性抜群
⚠️ 要確認:食品・飲料カテゴリーの正確な手数料率は、セラーセンターの最新告知で必ず確認する。本提案は保守的に 10% で試算している。
🌪 冷静な逆風認識:海外では手数料が段階的に上がっている(英・EU 5→9%、米 6→8%)。日本も1年でカテゴリ別へ移行済み=今後さらに上がる前提で設計する。そして「ライブ=必ず売れる」という前提は捨てる。売上はクリエイターの発信力とコンテンツ量に強く依存する。
2

核心:単品は赤字。セットで黒字。

この事業の成否は、ほぼこの一枚で決まる。同じ利益構造でも、何を売るかで赤か黒かがひっくり返る。

¥2,980の抹茶を単品で売ると、1個ごとに ¥53の赤字
同じ原価構造でも ¥6,800のギフトセットなら、1個で ¥1,360の黒字

単品売り

¥2,980 の抹茶

¥2,980
売価
¥2,980
宇治園仕入れ(卸50%)交渉の核心
−¥1,490
TikTok手数料(食品≒10%)
−¥298
クリエイター報酬(15%)
−¥447
送料(自社負担)
−¥500
広告 GMV Max=自動入札広告
−¥298
粗利
−¥53
ギフトセット

¥6,800 のセット

¥6,800
売価
¥6,800
宇治園仕入れ(卸45%)
−¥3,060
TikTok手数料(10%)
−¥680
クリエイター報酬(15%)
−¥1,020
送料 客負担でゼロ
¥0
広告(ACOS10%)広告費÷売上
−¥680
粗利
+¥1,360
💡 ライブコマースで扱うのは「単品の茶葉」ではなく セット・ギフト・体験。客単価とコンテンツ映えの両方が同時に上がる。
3

赤字を黒字にする3つのレバー

単品赤字は「気合」では消えない。効くのは、この3つの構造的な打ち手だけ。

01

原価を下げる

宇治園の卸を 40%台へ交渉(専用SKU・PB化を条件に)。

粗利 +¥300 前後
02

客単価を上げる

単品を廃止。ギフトセット/バンドルで ¥5,000〜8,000 へ。高単価はライブ適性も高い。

粗利率が構造改善
03

単価が取れる市場へ

米国 TikTok Shop なら抹茶は 2〜3倍の価格が成立。同じ商品で利益率が変わる。

越境で厚利
4

3つの事業モデル(最重要の意思決定)

「誰が販売主体になるか」で、リスク・利益・契約が根本から変わる。まずは在庫リスクゼロの B から始める。

A
再販
Blendout が卸で仕入れ、自社在庫として販売。
利益上限は最大。ただし在庫・資金・返品リスクを全部背負う。卸掛け率が生死を分ける。
B
運用代行
宇治園がセラー登録・在庫・出荷。Blendout が運用/コンテンツ/クリエイター管理/広告/法令を代行。推奨・初期
在庫リスクはゼロ。GMV(流通総額)連動のレベニューシェア。“型”を他ブランドへ横展開する布石に最適。
C
MCN型
Blendout がクリエイターを束ねてキャスティング。 MCN=クリエイター事務所
身軽だが、クリエイター資産があること自体が前提。B の延長で徐々に構築する。
Phase 1 ・ いま

モデルB で型を作る

在庫リスクゼロで、運用の型と実績を積む。

Phase 2

勝ち筋でA部分導入

高粗利セットでモデルAを一部導入。+米国越境。

Phase 3

他ブランドへ横展開

同じ運用パッケージを、他の和食品・茶ブランドへ運用代行で展開。

5

お金の分け方(一般的な水準)

誰と、どう分けるか。宇治園との配分と、クリエイターへの報酬設計。

宇治園との配分

A:再販
卸掛け率で決定(卸40〜55%=Blendoutの粗利源泉)。宇治園は卸供給のみ。
B:運用代行
GMVの15〜25%、または小額固定(月10〜30万)+GMV 10〜15%。宇治園はセラー登録・在庫・出荷・返品。
C:MCN型
クリエイター報酬へのオーバーライド 5%前後+管理費。宇治園がセラー主体。
推奨初期条件(B):3ヶ月は「小額固定 月15万+GMV12%」でリスクを両者折半。成果が出たら「固定なし・GMV20%」等へ移行し、Blendout側の上限を開放。
必須条項:①独占運用権 ②越境展開時の別途配分 ③クリエイターリスト・コンテンツIPの帰属 ④最低6ヶ月+成果未達時の見直し。

クリエイター(ライブコマーサー)との配分

  • 報酬率:セラーが商品ごとに設定(公式1〜80%)。相場5〜20%、実務の起点は 10〜15%
  • 階層設計:新規はベース10%、上位実績者に15〜20%のティア報酬。トップと長期関係を築くインセンティブに
  • 有力ライバー:成果報酬+固定ギャラ。ゴールデンタイム(平日20〜23時)枠は3〜6ヶ月前に確保
  • 考え方:報酬は「コスト」ではなくROAS保証されたCPA15%報酬=広告費対効果ROAS約6.7。獲得単価として広告費と横並び管理する
6

「営業」ではなく「システム」で回す

この事業が死ぬときは、だいたい同じ理由。手動で維持する仕組みは、必ず放棄される。

🚫 既知の失敗モード:手動で維持する仕組みは必ず止まる。クリエイター獲得を「営業」ではなく 自動流入の仕組みにすること。

① 獲得を仕組み化

オープンコラボ+魅力的な報酬で「クリエイター側から申請が来る」状態を作る。サンプル配布(申請→選定→発送→投稿ガイド)はフォーム+自動化(n8n/GitHub Actions+Anthropic API)でパイプライン化。得意領域。

② オウンドを並走

外部クリエイター100%依存は「アルゴリズム依存+人依存」で危険。宇治園/Snap MATCHA名義のオウンドTikTokを育て、コンテンツ資産とライブを内製化。米国ビューティは売上の約87%がアフィリ経由だが、オウンドがあると交渉力と耐性が上がる。

③ データ運用も自動化

Kalodata等の分析+セラーセンターのGMV/CTR/CVRを、TypeScript/GitHub Actions で定点観測し週次Slackダイジェスト化。KPIは平均視聴3分以上/CVR 3〜5%。

7

本命はここ:横展開の収益

宇治園の物販は入口にすぎない。本当の伸びしろは、作った運用パッケージそのものを売ること。

01
運用代行の横展開(本命)

宇治園で作った運用パッケージを、他の和食品・茶・老舗ブランドへ運用代行として販売。

物販より再現性が高くスケール。“和食品TikTok Shop運用代行”へ
02
米国 TikTok Shop 越境

抹茶を米国で販売。既存の宇治園・輸出コンプラ知見を直結。

単価2〜3倍。国内の薄利を厚利で補う
03
Snap MATCHA 連携

店頭体験×TikTokの相互送客、インバウンド×EC。

既存アセット再利用でCAC(獲得コスト)ゼロ
04
店舗×ライブ

実店舗を配信スタジオ化。リアル×デジタルのライブイベント。

差別化コンテンツ+固定費の二毛作
05
運用ツールのプロダクト化

CRM+アフィリ管理+シーディング自動化を内製し、後にSaaS化。

開発力を収益資産に転換
8

リスクと対策

見えているリスクは、先に潰す。

法令(薬機法・景表法・ステマ)
茶の効能・健康訴求は違反リスク。投稿責任が投稿者に及ぶとブランド毀損。
全台本を事前チェック。効能断定はNG、PR明記必須。GBP自動化の“信号機ルール”を流用。
手数料の追加値上げ
海外はカテゴリ別化の後もさらに上昇傾向。
越境・オウン比率・高単価セットで感応度を下げる。
低粗利
単品茶葉は赤字化する。
セット化・卸交渉・越境の3レバー(第3章)。
宇治園依存
モデルBは、切られたら終わり。
独占運用権+クリエイター資産の自社帰属を契約明記。横展開で分散。
キャッシュフロー
入金は毎月1・14日、清算期間で留保が生じる。
運転資金を確保。モデルBは在庫負担がない分だけ軽い。
9

最初の90日プラン

何を、いつまでに。立ち上げの順番。

Week 1–2
宇治園と事業モデル(B推奨)・配分・独占条項を合意。食品カテゴリの手数料をセラーセンターで確定。
Week 2–3
セラー登録、商品3点以上を登録。ギフトセット3〜4SKUを設計(単品売りしない)。撮影・台本・法令チェックリストを整備。
Week 3–4
オウンドアカウント開設、初回コンテンツを量産。アフィリ報酬を階層設計(ベース10%)し、オープンコラボを公開。
Month 2
サンプル配布の自動化を稼働。相性の良いクリエイター5〜10人と初回の実績づくり。週次KPIダッシュボード稼働。
Month 3
勝ちSKU/勝ちクリエイターを特定。GMV Maxで拡張。米国越境と他ブランド運用代行の要件定義に着手。
10

意思決定:問うべき4つのこと

やる/やらないは、この4つに答えれば決まる。

Q1
宇治園から卸何%を引き出せるか
=モデルAの成否。引き出せないならモデルB一択。
Q2
客単価を¥5,000超のセットに設計できるか
単品しか無理なら、撤退を推奨。
Q3
クリエイター獲得を仕組み化できるか
手動営業が前提なら、着手しない。
Q4
本命の横展開を最初から視野に入れるか
宇治園案件を「実績台帳」として設計できるか。
◆ 判断基準

この4点すべてに YES が出せるなら、参入タイミングとして合理的。NO が混ざるなら、その混ざった箇所を潰してから始めること。